少年時代怪談銘板

怪奇は湧くよ少年時代:初めに

始めに

 私には霊感は無い。
 そして実を言えば怖い体験をするのが好きというわけでもない。怪奇談は好きだが、それは恐怖ジャンキーという理由ではなく、現代科学の埒外にあるメカニズムに深い興味があるだけなのである。ついでに言うならば昔から科学好きであったため、科学知識および科学技術については良く知っている。
 そんな私がなぜに怪奇現象に巻き込まれやすくなったのかについては、一つだけ思い当たることがある。

「不動尊秘密陀羅尼経」

 父の残した茶色に変色した経典である。時代自体はそれほど古くない。印刷物であるので八十年ほど前のものか。物自体は今でもネットで新しいものが売られている。
 これを見つけて興味半分に読んでから、色々なことが始まったように思うのである。


 以下の怪談は私が少年時代に見聞きした記録である。